6 月23 日、神戸の仏師 立花麟士先生をお迎えして、第22回 雨の季節 静かに刻む ひと彫り ひと彫りを仏師に習う 仏像彫刻入門 体験会を開催しました。
ご好評いただいた昨年に続き、2回目の今回もキャンセル待ちが出るほどの大人気。老若男女、幅広い年齢層の方々にご参加いただきました。
今回お迎えする仏さまは、奇しくも西方極楽浄土で衆生救済の説法を唱える、阿弥陀如来さま。
立花先生のお声がけで、6/18に発生した大阪府北部の地震で被害に遭われた方に黙祷を捧げ、講座が始まりました。
まずは、はがきサイズの板材にカーボン紙をのせて、その上に下絵を貼ります。下絵をなぞり書きし、板に仏さまのお姿を写します。
基本的な彫刻刀の持ち方や彫り方を教わったら、最初のひと彫り。
板材は、初心者にも彫りやすいやわらかい南洋材。学校で使っていた物より少し大ぶりの彫刻刀に、みなさんちょっと緊張気味です
立花先生いわく、絵や陶芸などは足し算。何もないゼロの状態から作り上げますが、彫刻は、元からあるものからどんどん引いていく引き算。ここが他の創作活動との一番の違いだとか。
これは、普段意識していることとは逆の作業。周りを彫り下げることで像が浮き上がってくるので、どこが高くて、どこが低いのかを意識することが大切です。
各テーブルをまわり、アドバイスをしたり、実際にお手本を見せてくださる立花先生。その淀みない手元に、みなさんもくぎづけです。
今回の講座は初の二部制。
一部のみの方は、最後はご自宅で仕上げていただくため、ある程度のところまで先生がお手伝い。
当日の完成をめざして二部に参加する方までもが先生を囲んで、その巧みな技に感嘆の声があがります。
二部では、仏さまのお姿も徐々に浮かび上がり、いよいよお顔を彫ることに。
顔の向きや輪郭、鼻筋など、深さや角度を考えて、さらに慎重に、一心に彫っていきます。
二とはいえ、限られた時間の中、やはり完成までは難しい方も。
立花先生からの「お顔を僕に彫らせていただける人」とのありがたいお声がけに、ハーイとたくさんの手があがります。
「前まで持ってきていただいて、僕の修行につきあってください」という優しいお言葉には、先生のお人柄が感じられ、みなさんの笑顔も広がります。
最後は、できれば墨で銘を入れていただきます。
裏側に、謹んで仏さまをお迎えしますとの意で「謹造佛」と記します。
仏さまのお名前は中央に、他の書き出し位置より高く。そして日付と自分の名前を記して完成です。
梅雨空の下、心を澄ませてひと彫りひと彫り……それぞれの想いを込めた美しい阿弥陀如来さまをお迎えすることができました。
*さらに仏像彫刻に関心のある方には、3回シリーズで「ひめ仏像」(約10~15cmのミニ仏像)を仕上げる講座にご参加いただけます。この秋から始まる「仏師に習う仏像倶楽部」でメンバーを募集しています。
詳しくはこちら。