実施報告:みのおてならいサロンコンサート「アンドレス・セゴビアに捧ぐ クラシックギター 〜そらのあなたを聴くしらべ」

2019年6月29日(土)、みのおてならいサロンコンサート「アンドレス・セゴビアに捧ぐ クラシックギター 〜そらのあなたを聴くしらべ」を開催しました。

今回で4回目を数えるコンサートにお迎えした演奏家の方は、プロのクラシックギタリストの中でも、驚くほどの音の多さで奏でられる名人でありながら、これまで表舞台に立つことがとても少ないために、幻の演奏家の異名を持つ島崎陶人さん、その人です。

 

島崎さんのギターの音色との出会いは、昨年の入梅の頃。その感動を胸に、じっくりと1年間あたためてきた今回のコンサートを島崎さんの70 歳を記念する全国ツアーの1ステージに加えていただきました。

 

ホールでは、ギター史に輝く金字塔「現代クラシックギター奏法の父」アンドレス・セゴビアの映像が流れ、私邸の一室を思わせるテーブルには、読みかけの古びた書籍。淡い光が揺らめく真紅のランプが写真立ての中のセゴビアを優しく照らし出します。「赤い城」と呼ばれるアルハンブラ宮殿をテーマに、島崎さんの家に招かれるような演奏会を、との思いのしつらえです。

セゴビアの音色を追い求めてこられた50年の軌跡。こうして島崎さんの演奏会の幕が静かに上がりました。

島崎さんは、今この瞬間、生まれ出た音から音楽を創られます。同じ曲を演奏しても、毎回思いもよらない音の世界が広がり出すという、ご自身にとっても、私たちにとっても、まさに一期一会の音の景色。

 

空気が美しく粒立ち、しだいに浄化されていく、えもいわれぬ清々しさに包まれるひとときでした。

終演にあたり、島崎さんからは限定の対談本がご来場者全員に贈られ、みのおてならいスタッフからは、セゴビアの故郷、スペインのアンダルシア地方で生まれた伝統菓子、幸せを呼ぶといわれる“ポルボロン”を、島崎さん作「音の景色を楽しむ楽譜 音玉楽譜カード 」(イラスト わだ かなこ)とともにプレゼント。感動を胸に演奏会を心の中で再演いただく、もうひとつのアンコールのためのお楽しみです。

 

今後、島崎さんの全国ツアーは、9月8日(日)の名古屋ミューズ音楽館ミューズサロンと、11月16日(土)の松山市民会館小ホール能楽堂での開催が予定されています。

幻の演奏に出会えるまたとない機会。ぜひご来場、ご鳳声ください。

*島崎さんの名古屋、そして松山市でのコンサートの詳細・お申し込みはこちらから
https://www.tohjin.info/

 


舞台コラム:

夢のサマータイム 空想のひと部屋

アンドレス・セゴビアに捧ぐ……この演奏会は島崎さんが尊敬し、希求すること50年のセゴビア師父とその音色にせまる演奏会。現代ギター奏法の父にして、ギターの神とも敬われるセゴビアさまの依り代に、ささやかな聖域を。そんな思いを演出しました。島崎さんのかたわら、古いネスト(入れ子式)テーブルをアルハンブラの〈 赤い丘 〉にみたて、スペイン語で書かれた『グラナダ』ほかの読みかけの古書は〈 城郭 〉を。そして深紅のグラスをアルハンブラ造営に連夜灯し続けられたという〈 かがり火 〉の逸話に思いを馳せて点灯、全体を「赤い城」の意のアルハンブラ宮殿をイメージした〈 祭壇 〉として、セゴビアさまを花飾りのフレームにおさめました。さて、ご来場者のみなさんにはどう映りましたか。クラシックギターと夢のサマータイム。夢から覚めて次はどこを旅しましょう。

 

※ネストテーブル(1930年代 イギリス製)/コンベックスガラス(凸ガラス)フォトフレーム(1930年代 デンマーク製)/古書(1970-80年)

※グラス(1990年代 イタリア ムラーノ島)デヴィッド・リーン監督 キャサリン・ヘップバーン主演『旅情』。ふたりの運命的な出会いと恋を導く印象的な深紅のグラス。今回の演奏会に使用したものは『旅情』に登場したグラスを精巧に復刻した稀少ベネチアングラス。

コメント: 0